せっかく素敵な声で美しく歌えるようになっても、何も伝えられないのでは、
残念でなりません。歌うことの醍醐味は、美しい音楽に乗せて、自分の思いを伝えることができることです。
アトリエでは、どうすれば、詩が自分の言葉になり、詩と音楽と自分が一つになれるのかを、朗読、即興、パントマイムなどいろいろな方法で探していきます。
詩と音楽と自分が一つになるということは、発声とかけ離れたことではありません。
発声は、言葉が自分のものになった時に初めて、自分自身とつながり、話すように歌うことがより自然に感じられることでしょう。
歌詞を読むとき、その言語を話せることが理想です。しかし、なかなか難しい事ですので、そんなときは、まず、日本語か自分の話せる言語の訳詞を、感情を込めて読んでみましょう。そのとき、一気に読み切ってしまうのではなく、沈黙のところを作ってみたり、ハッと驚いてみたり、自分が誰で、どういう場面で、誰に向かって、そしてどういう思いで言っているのかを考えて、いろいろと試行錯誤しながら読んでみてください。そして、自分なりの解釈ができたら、原文の単語の意味を調べてください。そして、解釈したように原語で詩を読んでみましょう。この準備をすることで、歌詞の始まりから終わりまで、途切れる事のない流れとなって、自然な呼吸の中、最後まで歌詞の世界と通じ合う事ができます。
叫んで自分を実感!:
例えば、今あなたが、うれしいとか、悲しいとか、恐怖を感じたとかで、
叫びたい気分だったとします。もし、今まさにその気分だったとしたら、叫んでみてください!
声と自分の感情と体が一つつながったものである事をありありと実感できる事と思います。
落とし穴:
歌を練習するうえで、やればやるほど問題になるのは、声と、体と自分の感情が、どんどんバラバラになっていくという事です。何故かと言えば、いい声を出せる、楽に発声ができることに重点が置かれすぎて、その事にのみ集中してしまうからです。
確かに、まだ発声が楽にできていない段階では、そのせいで、自分の表現したい事が表現しきれないという事になりやすい事は事実です。しかしそれがために、発声にばかり注意してしまうと、音楽としてとてもつまらないものになりますし、さらには、表現も発声もどちらも、ひどい結果になる事が良くあるのです!
今の自分の感情を声に出してみる!:
私たちは、特にうれしい時だと思いますが、鼻歌を歌いますよね。
あんな感覚でいいので、声にして歌ってみてください。歌と言っても曲になっていないといけないとか、そんな難しい事ではなくて、ただ、自分の感情に正直にそれを声に出してみるという事です。その音が例え同じ音の連続だとしても、一音の伸ばした音だとしても何でもいいです。
まず、やってみて、その感情と自分の声がつながった一つのものだと実感してみてください。
これは、即興のはじめのはじめですが、これだけでも驚くような感覚を感じられるはずです。
アトリエでは、徐々にこのステップから、自分の体験をもとに歌ってみることなど、ステップアップさせていきます。